介護士の方や、介護業界に転職を考えている人にとって、ショートステイを候補に入れている方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際の仕事内容や他の介護職との違いまでは詳しく知らないといった方も多いはずです。
そこで今回は「ショートステイ」がどういったものなのか、といった基本的なことから、仕事内容や給料、求人についてまで詳しく解説していきます。
目次
ショートステイの概要
まずは、ショートステイの概要を簡単にまとめておきます。
ショートステイの概要 | |
---|---|
事業形態 | 施設型 |
給料 | 月給17万円~40万円 |
夜勤 | あり |
仕事内容・特徴 | 在宅で生活する高齢者が、何らかの理由で在宅生活が困難になった場合に、短期間利用して必要な介護が受けられるサービス |
次に、それぞれについて詳しく説明していきます。
ショートステイの事業形態
ショートステイとは?
ショートステイとは、地域で生活する高齢者や障碍者が、様々な理由で、一時的に自宅での生活ができなくなった場合に利用することのできる介護サービスです。
ここでは高齢者を対象とするショートステイについて説明します。
ショートステイとは?~詳細~
ショートステイは、原則、29泊(30日の利用)を上限に短期間入居する宿泊型の介護サービスです。30日以上の利用も可能ですが、31日目だけは、介護保険の適用が受けられず、利用者が全額自己負担することになります。32日目からは、介護保険で新たに30日間の利用が可能です。ただし、30日以上の連続利用は、短期入所生活介護の場合、介護報酬が減算されます。
また、ショートステイのうち、短期入所生活介護及び短期入所療養介護については、特別な場合を除き、利用する日数が要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにしなければならないという重要な規定があります。特別な場合には、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが、保険者に対し特別な理由に該当する理由を説明し、許可を得る必要があります。
ショートステイには、ベッドの数や利用方法で、大きく3つの種類があります。
◆ベッドによるショートステイの分類
- 併設型
- 空床利用型
- 単独型 ←ショートステイの求人
特別養護老人ホームや有料老人ホーム、医療機関の中に、ショートステイ専用のベッドを概ね1~10床程度設けて運営するのが「併設型」です。
これらの施設の中で空いているベッドを利用して運営するのが「空床利用型」です。
そして民間企業などがショートステイ専用に概ね20~30床程度のベッドがある施設を建てて運営するのが「単独型」となります。
その他、小規模多機能型居宅介護や有料老人ホームの自費ショートなどもありますが、いずれにせよ、ショートステイとしての求人は、「単独型」ショートステイ事業所を意味しています。
サービス形態によるショートステイの違い
事業形態の違いにより、ショートステイで提供するサービスには大きな違いがあります。
◆ショートステイの事業形態の分類
- 医療を中心にしてサービスを提供 ⇒ 短期入所療養介護
- 介護を中心にサービスを提供 ⇒ 短期入所生活介護
ショートステイでは事業形態の違い(提供されるサービスの内容による違い)によっても分けられます。
医療を中心にしてサービスを提供する場合は、医療機関によるショートステイである「短期入所療養介護」を利用することになります。逆に、医療的なサポートの必要性が低く、日常生活上の介護が中心である場合は社会福祉法人や民間企業が運営する「短期入所生活介護」を利用します。基本的に介護職の皆さんが働く事業所では、利用者の医療依存度は低く、介護が中心の利用者への対応が中心となる「短期入所生活介護」です。
ショートステイの給料と求人
ショートステイの給料
ショートステイでの時給、月給、年収はおおよそ次の範囲です。
なお、この目安は、介護職員、生活相談員を想定しています。管理者(施設長)については、もう少し高い金額を設定している法人もあります。
◆ショートステイの給料
時給:790円~1,300円(基本時給のみ:派遣及び処遇改善手当等の手当を除く)
月給:17万円~40万円(都道府県により大きく異なる)
年収:270万円~450万円(都道府県により大きく異なる)
ショートステイの求人
ショートステイの求人は、他の介護職に比べ、それほど多くはありません。
なぜなら、「単独型」ショートステイを運営している事業所は、他のサービス事業所と比較して少ないからです。とはいえ、介護事業を手掛ける大手の会社で、「単独型」ショートステイを積極的に展開しているところが複数ありますので、全国どこでも求人を見つけることは可能です。
ショートステイで募集している職種は「介護職員」、「生活相談員」、「管理者」などが中心です。ただし「生活相談員」や「管理者」の求人は少ないので、「介護職員」からのスタートが一般的といえます。
ショートステイの仕事内容
勤務形態と仕事内容
勤務形態は早番、日勤、遅番、夜勤の4交代のシフト制で行います。業務開始時間は施設によって異なるので一例をご紹介します。
◆ショートステイの勤務シフト例
- 早番 7:00-16:00
- 日勤 9:00-18:00
- 遅番 11:00-20:00
- 夜勤 16:00-翌10:00
ショートステイでは、起床介助、移乗・移動介助、食事介助、排泄介助、入浴介助、就寝介助、機能訓練、余暇支援などが行われます。サービスの内容としては、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの入居系介護サービスと、それほど大きな違いはありません。
ただ少しだけ違うのは、ショートステイは、他の入居系サービスよりも、入退所の件数が多いため、情報の共有や荷物のチェックなどの業務も必然的に多くなるということです。逆に他の入居系サービスよりも、業務が軽減することもあります。ショートステイでは、特別な場合を除き、職員が通院介助をすることはありません(自費ショートや短期利用特定施設入居者生活介護を除く)。利用者に体調不良などの症状がある場合は、ショートステイ事業所の配置医師が診察することになります。その他の場合は、家族が通院しなければなりません。
ショートステイと他施設の違い
では、通常の入居系介護サービスとショートステイでは何が違うのでしょうか?
その一番の違いは、ショートステイが、入居系サービスでありながら、「住み慣れた我が家で最後まで暮らし続けたい」という高齢者の希望を実現するための在宅サービスであるということです。その他、ショートステイが短期決戦であること、そして、多くの人と触れ合う機会が多いということです。
このような点に、ショートステイの仕事のおもしろさや醍醐味、専門性があります。これらについては、この後のメリット・デメリットでも詳しく説明していきます。
ショートステイで働くメリット・デメリット
ショートステイで働くメリット
ショートステイで働くことのメリットはたくさんありますが、特に注目すべき5つのメリットを説明します。ショートステイは、他の入居系サービスと比較すると多くのスキルが必要になります(デメリットも参照してください)。その代わり、利用者やその家族への貢献度が高く、現在の自分自身のスキルが明確になるので、「介護に本気で取り組んで、利用者や家族に貢献できるスキルを身に着けたい!」という人にとってはとてもやりがいがある職場です。
◆ショートステイで働くメリット
- 介護スキルや対人スキルを高めることができる
- 仕事の結果が分かりやすい(成果を出しやすい)
- たくさんの人(高齢者本人や家族、ケアマネなど)と関わることができる
- 地域で生活する高齢者の在宅生活を支えることができる
- 介護者の負担軽減への貢献度が大きい
1つ目は、「介護スキルや対人スキルを高められる」ことです。「単独型」ショートステイの場合、通常、毎日5名~6名の利用者が入れ替わります。多い日だと10名~15名なんていう日もあります。初めて入所する高齢者の場合には、事前に情報収集をしっかり行い、チーム内での情報や対応方法の共有が必要です。このようなことから、必然的に介護スキルや対人スキルが向上します。
2つ目は、「仕事の結果が分かりやすい」ことです。ショートステイの現場は、入居者が短期間で退所するため、他の入居系事業所と比べて、短いスパンでの関わりとなります。ショートステイ終了後、利用者本人やその家族、そしてケアマネジャーから様々な反応があります。そのため、仕事の結果がすぐに分かるという特徴があります。やる気を持って取り組んでる人にとっては、成果が出しやすい環境であるといえるでしょう。苦情や好ましくない連絡もありますが、「楽しかった」とか「また利用したい」なんていう連絡をもらうと非常にやる気も高まります。
3つ目は、「たくさんの人(高齢者本人や家族、ケアマネなど)と関われる」ことです。特別養護老人ホームや有料老人ホームの場合は、介護する高齢者はもちろん、施設ケアマネなど関わる人が毎日ほぼ同じなので、仕事がマンネリ化しやすくなります。ショートステイの場合は、地域のケアマネジャーや家族との関わりも多くなるので、大変さもある半面、刺激も多く、仕事へのモチベーションも高まります。
4つ目は、「地域で生活する高齢者の在宅生活を支えることができる」ことです。多くの高齢者の、「住み慣れた我が家で最後まで暮らし続けたい」という願いに貢献しています。本人の一時的な体調の悪化、退院後の生活の不安、介護者の介護困難など理由により、在宅生活が困難になるケースがありますが、ショートステイを利用することでこれらの問題の解決になることがあります。そのため働く側としても、在宅生活継続の重要な役割を担っていることが分かりやすく、非常にやりがいをもって働くことができます。
5つ目は、「介護者の負担軽減への貢献度が大きい」ことです。ショートステイがあることで、介護者の介護負担や精神的な負担を軽減することができます。在宅介護では、介護を行う家族が疲弊してしまうことも少なくありませんが、ショートステイを活用することで、介護者の様々な負担の軽減に大きく貢献できます。介護者とその家族に寄り添った重要な役割を担っている、というやりがいから、働くことに対するモチベーションが高まるでしょう。
ショートステイで働くデメリット
続いて、ショートステイで働くデメリットです。ここでは5つのポイントを挙げておきます。事実として、下記のような状況があります。ただし、このような状況を克服する過程に、利用者やその家族の自己実現、働く自分自身のスキルアップにつながる可能性や面白さがあります。単なるデメリットではなく、前向きな課題として受け止めてもらえると、今後のあなたにとって良い結果につながると思います。
◆ショートステイで働くデメリット
- 情報共有や荷物の整理などに要する時間がかかる
- 利用者とゆっくりかかわる時間が少ない
- 事故が起きやすい
- 利用者や家族との信頼関係を構築するのに時間がかかる
- 利用者や家族との信頼関係が薄いため、苦情が多い
1つ目は、単独型ショートステイでは、1日の入退所数も多いため、利用者の情報収集や入退所時の荷物チェックなどに多くの時間を要するということです。情報共有や荷物チェックの効率化が必要となります。
2つ目は、有料老人ホームなどと違い、多くの利用者は入居期間が短いため、必然的にかかわる時間も短くなるということです。また、上記の情報収集や荷物チェックなどの時間も必要なため、利用者とゆっくりかかわる時間が少なくなりがちです。ショートステイを利用するニーズを明確にし、ニーズに対して集中的なかかわりを持つ必要があります。
3つ目は、事故が多いということです。新規の利用者が同時に開始になることが日常的であるため、十分な情報や対策がない中で受け入れなければならないケースも多くなります。そのため、事故が起きやすくなります。新規利用者が同時に入所することができるだけないよう調整する必要があります。
4つ目は、利用者やその家族との信頼関係が構築しにくいということです。繰り返し利用をしてくださる利用者もいますが、間隔があいたり、利用期間が短いなどの理由から、利用者やその家族と十分なコミュニケーションがとれず、信頼関係を構築しにくくなります。少しでもコミュニケーションをとるためにも、利用中期間中に実施したアクティビティの写真をお渡しするなどの工夫が必要です。
5つ目は、利用者や家族との信頼関係が薄いため、小さな不満が大きな苦情につながることが多くなるということです。特に、初めて利用する場合ほど、苦情のリスクが高くなります。利用者や家族のニーズと事業者が対応できることを明確にした上で受け入れを開始することが重要です。事業所の強みと、できないことをはじめに明確に説明することで、問題の多くは解消できます。
ショートステイが向いているのはどんな人?
ショートステイに向いている人は次のような人です。
◆ショートステイに向いている人
- 地域福祉に貢献したい
- 多くの人の役に立ちたい
- 新しいことに挑戦したい
- 臨機応変な仕事での対応を身に着けたい
- 自分自身の専性を高めたい
これらの働き方を望む人には非常に向いています。また将来、介護施設の管理職や大手介護会社でエリアマネージャーなどの仕事についてみたいと考えている人は、「単独型」ショートステイの介護リーダーや生活相談員の経験をし、ある程度の実績を残すことでで、大きなアドバンテージになると思います。
まとめ
これまで説明してきたように、ショートステイ事業は在宅生活を支えるために不可欠な事業であり、また非常に魅力的な職場です。もしも興味を持っていただければ、求人情報など、いろいろな情報を調べてみてください。
もし、その他の施設について知りたい方は、この記事も読んでみてください。

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