インフォームドコンセントの重要性と介護

皆さんはインフォームドコンセントという言葉を知っていますか?

現在では、ニュース等でも一般的に使われるようになり、この言葉自体を知らない人は少ないかもしれません。インフォームドコンセント自体は非常に重要なものですが、それが適切に行われているか?ということについては疑問符がついてしまうようなことが起きています。

患者やその家族は、知識等がある医療者の言葉に、従ってしまいがちです。しかしながら、生死にも関わるような医療の選択の場面では、様々な可能性の中から、自ら意思決定をすることが尊重されるべきです。

今回は、インフォームドコンセントとはどういうものか、そしてどうあるべきかということについて、実際に起きた事例を取り上げながら記事にしていきます。

インフォームドコンセントとは

インフォームドコンセントとは、医療行為(投薬・手術・検査など)において医師からよく説明を受けて、じゅうぶんに理解したうえで患者が自由意思で合意したり、保留または拒否、あるいは撤回したりすることです。

説明の内容は、代替治療、副作用や合併症、成功率、費用、予後、など多岐にわたり、正確な情報が与えられることが望ましいです。そして患者側は納得するまで質問し、説明を求めることが出来る権利でもあります。

インフォームドコンセントとは、医療を行う過程での「説明と同意」を得る際に、患者の自己決定権を保証するものです。患者が全部お任せしますと深く理解せずに同意書に署名してしまう、あるいは医師が強引に誘導して同意させようとする、というような事態を防ぐことが出来ます。

患者自身の自由意思が尊重され治療方針などを自己決定していくものですが、いつでも撤回できるということが重要です。撤回できるということで、安心して自己決定できるからです。

また患者自身だけでなく、家族などサポートする立場の人びとにも共通理解がなされなければ、スムーズに医療が進められません。

このように、インフォームドコンセントとは、患者、家族が病状や治療について充分に理解し、医療を提供する側も患者や家族の様々な状況や意向を把握し、どのような医療を選択するのか、場合によってはソーシャルワーカーやケアマネージャーなどの関係者もふくめ、みんなで情報を共有し合意していくプロセスです。

インフォームドコンセントの問題点

では、常に業務に追われている病院の医療従事者は、本当に患者との信頼関係を構築し、患者だけでなく、家族に対しても納得のいくインフォームドコンセントが出来ているでしょうか?

ここでは病気の事例と高齢者について考えます。

事例:福生病院 人工透析事件

これは2018年8月に東京都で実際に起こった事件です。

東京の公立福生病院で、腎臓病の女性の人工透析治療が中止され、死亡した問題で、この女性が亡くなる前に透析の再開を求める趣旨の発言をし、病院側が把握していたことが分かった。

東京都などによると、女性は重い腎臓病で、別の医療機関からの紹介で、去年8月9日に公立福生病院を受診した。

医師が透析を続けるための別の治療法を提案したが、女性は透析の中止を希望し、その日に同意書に署名したという。

女性はその後、病状が悪化して入院したが、その際、女性は透析再開を希望する趣旨の発言をしていて、病院側も把握していたことが分かった。

ただ、女性の意識が不安定だったため、容体が落ち着いた時に病院側が改めて透析の再開について確認したところ、女性は希望しなかったという。女性は16日に死亡した。

日本透析医学会のガイドラインでは、透析の再開を希望した患者には、病院は、意思を尊重して再開するとしている。東京都は、患者の意思確認が適切に行われたかなどを調べている。』

引用:『3月17日日テレニュース』

 

公立福生病院(東京都福生市)で昨年8月、人工透析治療の中止を選んだ腎臓病患者の女性(当時44歳)が亡くなった問題で、病院は遺族の求めに応じ、カルテを開示した。病院側は治療中止の意思を最終段階でも確認したと主張しているが、カルテには記載がなかった。

カルテはA4判で計294枚。それによると、女性は昨年8月9日、血管の分路(シャント)が詰まったため来院した。外科医は首の静脈から入れる管(カテーテル)の手術が必要だと説明。「血液透析は治療では無い」「腎不全というものによる死期を遠ざけているにすぎない」とする見解を示し、「延命を図るのであれば(管の)造設を行うが、継続を望まないのであれば、手術は行う必要は無い。その際2~3週間程度の寿命となる事が予想できる」「どうするかの選択は本人意志である」と伝えた。

女性は治療中止の同意書に署名。外科医はその後、夫(51)と看護師らを呼んで意思確認をした。』

引用:『毎日新聞

事例:インフォームドコンセントをする上での問題点

この事件はインフォームドコンセントという観点で考えると、次の3つの問題点がありました。

◆問題点

  1. 患者本人と医師だけでインフォームドコンセントを行い、署名まで済ませた段階で家族や看護師らに意思確認した
  2. 同意した治療方針を変更できる説明を女性にしなかった
  3. 透析中止後にどう生きるのか緩和ケア、ホスピスの説明がなかった
  4. 透析の再開希望を伝えたにも関わらず透析せず死に至った

まず、1についてですが、この場合の署名は、「透析をやめる=死」であることを認識したうえでの重大な署名です。確かに同意書にサインがあれば問題ないのですが、家族も含めての話し合いをすること、すぐに結論を出さず、数日は患者と家族で話し合ってから署名という流れにすべきではないでしょうか。署名後に家族や看護師と意思確認では少しニュアンスが違ってしまい、本人が望み署名したなら仕方ないとあきらめるようになってしまいます。患者と本人が本音で話し合って納得するというプロセスが欠けています。

次に2についてですが、署名したのだから翻してはならないと患者が認識する可能性もあり、生死を決めてしまう行為に対して、署名をしていても後から変更が出来ることを伝えることは重要です。

続いて3についてですがは、透析を止めたら苦しくて困難な状況になることは予想できます。少しでも最後まで生きていく上でのクオリティを高め、患者の不安、苦しみを緩和することは重要です。この点については、家族や看護師を含めて話し合い、対応を共通理解にしないといけません。

最後に4ですが、今回のケースでは、苦しくなり意識が混濁してくると透析を希望する患者に対し、一度は再確認する(落ち着くと透析をやめて欲しいと言う)ものの、苦しくなり再び透析を再開したいと希望し夫に伝え、夫は担当医師に再開希望を伝えたにも関わらず、透析が再開されないまま死に至ってしまいました。

夫は緊急手術を受けなければならず、手術前に担当医師へ再開の希望を伝えていましたが、手術後に死亡を知らされる結果となりました。携帯に「父ちゃんたすかかか」(助けてと言いたかったのでしょうか)と最後の言葉が残っていたご家族の心情は察するにあまりあります。家族からしてみると、再開希望を伝えたのに何故?という思いになるのは当然といえます。担当医は、患者だけでなく家族がいる場でインフォームドコンセントを行い、状況を鑑みて透析を再開していく方針を決めていれば、訴訟問題にならなかったのではないでしょうか。

何度でも繰り返しインフォームドコンセントを行い患者や家族らが納得したうえで方針を決定していくことは重要です。意識が鮮明なときの患者の判断を尊重したということでしたが、それを家族に伝え、医療者側の独断ではなく、家族が納得した時点で実行されるべきです。

インフォームドコンセントの必要性

この事件をきっかけに、倫理委員会を開かれなかったことや、この事件より以前にも、インフォームドコンセントの記載がないのに、透析をせずに亡くなった患者がいたことなど、さまざまな問題が指摘されました。

インフォームドコンセントは、患者だけでなく、家族にとっても後悔のない、確かな治療方針を進めていく上で欠かすことのできないものです。インフォームドコンセントがなければ、医療従事者と患者、家族の信頼関係は築けません。そしてインフォームドコンセントを行ったら、それを書面にして残すことが必要です。

また患者や家族は、医療者の主張を鵜呑みにするのではなく、疑問を持ったなら何度でもインフォームドコンセントの場を提供してもらい、納得するまで同意しないことが大切です。拒否、あるいは保留、撤回することもできるのだということを覚えておきましょう。

先程の事件の補足ですが、日本透析医学会は来年3月までに終末期でない腎不全患者にも治療中止や最初から治療しないという選択枝を盛り込みガイドラインを改訂します。治療の継続・中止の選択を患者が行うのは癌をはじめ他の病気でも広がっています。

患者本人はもちろん、家族、時にはソーシャルワーカーやケアマネージャーも含めて、インフォームドコンセントの情報を共有し、悔いのない医療を受けられるようにしていきましょう。

高齢者へのインフォームドコンセント

病気の進行を把握する

介護が必要な高齢者は、様々な病気を抱えてしまいます。週何回か通いで介護する、あるいは同居で在宅介護している場合、介護される高齢者の病気の状態を把握していることは大変重要です。

通院をヘルパーの方々にお願いしている場合でも、病状をきちんと把握できるよう、ヘルパーの方々とコミュニケーションをとりましょう。

また病気の進行状況におうじて、介護者が付き添い医師と治療方針について確認することも重要です。

高齢者のインフォームドコンセントの注意点

今後、ますます高齢者が増えていく中で、高齢者へのインフォームドコンセントは、若い人以上に慎重に行わなければなりません。

介護者や家族の気持ちと本人の気持ちの違い、遠慮して本音が言えない、など、病状によっても様々な心の機微があります。また、それ以上に困難を極めるのが、認知症との複合的な問題です。

家族が注意すべき点を以下に挙げました。

◆家族が注意すべき点

  1. 本人の意思をくみ取る
  2. 感覚器官(耳や目)の衰えに配慮し、わかりやすく説明する
  3. 何度も意思を確認する
  4. 十分な同意能力の無い人に対しては、治療行為の承諾を他の人が代わりに行う

2については、眼鏡の度が本人の視力と合っていない、補聴器が電池切れなどで使えなくなっている、耳垢で耳が遠くなっている、などの状況もあるので、気をつけて対応しなければなりません。書類は大きな字で見やすくする、マスクなどはせず、患者の正面を向いて、口をはっきり見せながら、ゆっくり語りかけるなどの工夫をすると良いでしょう。

3の確認については、高齢者の場合、若者に比べて物忘れが多く、意思決定したことを忘れてしまうこともあるので、何度も意思を確認すると良いでしょう。

4は、本人の意思表示が困難な場合です。代諾という言葉がありますが、本人が意思表示をすることが困難な場合に、本人の意思をくみ取って、家族などが治療の意思決定を行うことが求められます。これは、非常に慎重に行う必要があります。高齢者は感覚が鈍っているので本人は感じていなくても、重大な炎症が身体の中で起こっていることもあります。介護者は、日頃からよく観察して少しの変化でも気付き、医師に伝えられるようにしなければなりません。

認知症で充分に自分の意思が伝えられなくなる前に、家族で、もしものときに延命治療を望むのか、(胃ろうなどについて)話し合い紙に書いていつでも提示できるよう残しておくことも良いでしょう。出来れば本人の自筆であることが望ましいです。

認知症におけるインフォームドコンセントの問題点

認知症の程度も、人により様々です。ある程度説明が理解できる、意思表示が出来る場合はゆっくり理解を促します。高齢者の認知症の場合、さまざまな問題点があります。

◆認知症におけるインフォームドコンセントの問題点

  1. 説明をうけた治療内容を本人が十分に理解できていない
  2. 理解力が低下してしまっていることに本人が気づかない
  3. 本人にある程度の理解力があっても過小評価されて説明が省かれてしまう
  4. 同意したり拒否したり意思を示しても内容を本人が忘れてしまう
  5. 本人の後見人について親族で合意する話し合いが出来ていない
  6. 医療者の説明不足を認知症のせいにしてしまう

認知症になると、不安感が強くなり、特に入院などをすると、その場所が安全か理解できないことから暴力的になってしまうこともあります。

安心できる環境であること、治療の一つ一つが時には苦痛や不快感を伴うこともあるので、不安にさせず、良くなるのだということを理解できるように接し方を工夫していくことはとても重要なことです。

まとめ

インフォームドコンセントの概念が広まり、「説明と同意」のしくみが整ってきたのはたいへん素晴らしいことです。しかし、実際には、医師の説明の仕方が誘導的なものになっていないか、きちんといくつかの代案がしめされているのか、本人だけでなく家族の理解も考慮されているか、など気をつけなければならないことがたくさんあります。

患者を含め家族や周囲の人たちは、しっかりと説明をうけ、同意に至るまでのプロセスを後悔のないものにしていく必要があります。

そのためには、医療者からの提案に対し、同意だけでなく、拒否、あるいは保留、撤回も出来るのだということを念頭に、患者と関わる全ての人が共通理解し納得して進められるように、諦めず、何度でも、話し合いを持つようにしていきましょう。


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