皆さんは、社会福祉六法というものを知っていますか?
普段はあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、福祉・介護関連について詳しくなりたい場合や、介護福祉士の資格を目指している人などは覚えておくべき、福祉関連の6つの法律のことです。
六法の個別の法律については、知っているものもあると思いますが、実際にどのような法律なのかということを詳しくは、知らないかもしれません。
ということで、今回は「社会福祉六法」について、どのような成り立ちで出来たのかや、それぞれがどういった法律なのかということを、記事にしていきます。
社会福祉六法とは
福祉制度の成り立ちと社会福祉六法
日本の福祉制度は、戦後の混乱期の中で国民への生活支援と救済を目的として整備された制度です。
1963年に高齢者の健康保持や生活の安定を目的とした老人福祉法が制定され、それ以前の日本の高齢者福祉施策は、旧生活保護法に基づく老人ホームへの収容が中心でした。
しかし、高齢化が進み始め高齢者を取り巻く社会環境が大きく変化してきて、老人福祉法が施行されてからは、それまでの施設中心の施策から在宅福祉へ転換するように在宅福祉施策に重点が置かれました。
1990年代に入り急速に高齢化が進み同時期に家庭環境が変化し始めて、家庭では「核家族化」になり介護に携わる家族が少なく介護の機能が低下してきました。
その結果、高齢者の介護が社会問題となりました。そこで、国がこれらの対策として、高齢者を社会全体で支えるために1997年に介護保険法を制定し、2000年に施行されました。
社会福祉における6つの法律
社会福祉六法という通り、社会福祉には以下の6つの法律が制定されています。
- 生活保護法
- 児童福祉法
- 母子及び寡婦福祉法
- 身体障害者福祉法
- 知的障害者福祉法
- 老人福祉法
聞きなじみのあるのは、1.の生活保護法ではないでしょうか。介護の分野で1番関連しているのは、6.の老人福祉法でしょう。
社会福祉六法を1つずつ解説
生活保護法
生活保護法が1番馴染みのある法律かもしれません。
生活保護法は、生存権(日本国憲法第25条)に基づいて健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としています。また、経済的に困窮する人に対しては、国が給付を行う制度です。
※日本国憲法第25条…すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する
児童福祉法
児童福祉法が制定されたのは、戦後間もなくの1947年です。戦争で親を亡くした子供たちは家もなく、路上での生活を余儀なくされていました。
そんな社会背景から、子どもの健やかな成長と最低限の生活がおくれるように、児童福祉法が制定されました。
児童福祉法は次の2つの基本的理念から成ります。
◆児童福祉法の基本的理念
- すべて国民は児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ育成されるよう努め
- 児童はひとしくその生活を保障され,愛護されなければならないとうたい
母子及び寡婦福祉法
母子及び寡婦福祉法は、1964年に制定された母子福祉法が1981年に改正され、現行の法律となりました。
母子及び寡婦福祉法では、母子家庭や※寡婦に対する福祉資金の貸付け・就業支援事業等の実施・自立支援給付金の給付などの支援措置について定めています。
※寡婦(カフ)…夫のいない独身女性(シングルマザー)
身体障害者福祉法
続いて、身体障害者福祉法についてです。
身体障害者福祉法は身体障害者の自立と社会活動への参加、そして、身体障害者を援助し、および必要に応じて保護し、身体障害者の福祉の増進をはかることを目的とするものです。
都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けると、障害の等級に応じたさまざまなサービスを受けることができます。障害の等級は、1級から6級まであります。
知的障害者福祉法
知的障害者福祉法(旧:精神薄弱福祉法)は1960年に制定された法律です。2006年の改正前までのこの法律の目的は「生活支援」だけでしたが、現在は知的障害のある人の自立と社会への参加が行えるように法律で定められました。
都道府県に対して、知的障害者福祉司、知的障害者更生相談所及び知的障害者相談員の設置を義務づけていたり、福祉の措置を定めるとともに、知的障害者援護施設、費用の負担などについて規定しています。
老人福祉法
老人福祉法は、1967年に高齢者が心身の健康や、安定した生活をおくれるような目的で施行されました。
老人福祉法では、当初、70歳以上の医療費を無償にしていましたが、その結果、多額の財政赤字を生み出してしまいました。そのため、1982年に老人保健法に変わり、高齢者の医療費や保険料が有償になりました。
老人福祉法は次の2つの基本的理念から成ります。
◆老人福祉法の基本的理念
- 老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきたものとして、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛される
- 生きがいをもてる健全で安らかな生活を保障されるもの
まとめ
以上のように、現在の日本の福祉制度は社会福祉六法が基本となっており、この六法の中で、子供、寡婦、高齢者と幅広い世代に対して福祉制度を展開しています。
この六法の中でも、介護関連については、老人福祉法が特に深い関りを持っています。これは、「高齢者のための福祉制度」の1つとして位置づけられています。「高齢者のための福祉制度」について詳しく知りたい方は、この記事をご覧ください。

社会福祉について考える場合、個別の法律や制度についてばかり目が行きがちですが、本来は全体の中でその制度が、どのような役割を持っているかということや、他の法律や制度がどの程度優遇されているか、などということも併せながら考えることも大切です。そのためにも、ぜひいろいろなことに興味を持ち、知識の幅を広げていってみてください。
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