在宅介護をしている方の中には、重度な要介護者の介護している方もいるでしょう。
そういった方は、定期的な通院の時、どんな交通手段を利用していますか?一般のタクシーや公共交通機関が利用できない状態の要介護者の場合に頼りになるのが「介護タクシー」です。
そこで今回は、介護タクシーとはどのようなものかや、要介護者にとってどのようなメリットがあるかなど、皆さんが気になることを書いていきます。
介護タクシーの種類と特徴
介護タクシーの特徴
「介護タクシー」は福祉車両を使ったタクシーで、要介護状態の方が安心して利用できるように細かな部分まで配慮されたタクシーのことです。介護タクシーには次のような特徴があります。
◆介護タクシーの特徴
- ノンステップ
- リフト付き
- 回転シート
- ホームヘルパー2級以上の介護資格持ったドライバーが担当する
- 高齢者や障がい者が一人でバス・電車・タクシーなどを利用できないとき、介護サービスとして通院や買い物などさまざまな用途に対応する
- ベッドから目的地まで付き添いといったサービスを行う
- 車いすや寝台(ストレッチャー)のまま乗り降りできるようになっている多機能車両もある
介護タクシーの種類
介護タクシーと一口に言っても、いくつか種類がありますが、大きく分けると2つになります。
1つ目は介護保険を適用する「介護保険タクシー」です。
そしてもう1つが、全額自己負担で制限や制約に関係なく利用できる(介護保険を適用しない)「福祉タクシー」・「ヘルパータクシー」になります。
◆介護タクシーの種類
- 介護保険タクシー :保険適用
- 福祉タクシー・ヘルパータクシー:保険適用外
【介護保険タクシー】
介護保険の適用ができるタクシーです。当然、誰でも利用できるわけではなく、要介護認定が必要になるなど、条件があります。
◆介護保険タクシー利用の3つの条件
- 要介護1以上
- 電車やバスを1人で利用できない
- ケアマネージャーがケアプランに盛り込んでいる
【ヘルパータクシー】
ホームヘルパー2級以上の資格を持っているけれど、第二種運転免許は持っていないというドライバーが提供する輸送サービスです。第二種運転免許のかわりにケア輸送サービス(※1)などの研修を受けることを義務付けられています。
※1.ケア輸送サービス
介護タクシーを行う際に第二種運転免許を持ってない場合、一般乗用旅客自動車運送事業 (福祉輸送事業限定)の免許を申請し、許可された後に、介護タクシーの運賃の認可申請をする順序になっています。
運賃の申請が受理されると、認可された運賃でサービスを提供することができるようになります。この認可された運賃でサービスを提供することをケア輸送サービスといいます。このサービスの総称をヘルパータクシーと呼びます。
【福祉タクシー】
身体障がい者がタクシーを利用する際に、市町村が料金の一部を負担(※2)するサービスです。ただし対象者は高齢者ではなく身体障がい者の方です。
高齢者向けの「シルバータクシー(※3)」のサービスを導入している自治体もあるので、一度確認してみてください。
※2.市町村が料金の一部を負担
身体障がい者の申請をして障がい者手帳が発行されると「福祉タクシー」として500円のタクシー利用券が支給されます。
※3.シルバータクシー
各都道府県での取り組み事業で「高齢者外出支援タクシー料金助成事業」などの名目で移動手段の確保が困難な70歳以上の在宅の高齢者に対して、高齢者外出支援タクシー利用券を交付することでタクシー料金の一部を助成しています。
- タクシー利用券とは タクシーを利用するときに、1枚につき500円相当額の支払いができる券
- 利用券交付枚数 年間70枚(計35,000円相当分)
- タクシー利用券対象者証タクシー利用券が交付されていることを証明するもの
介護タクシーと一般のタクシー違い
介護タクシーと一般のタクシーの違いは、料金はもちろんですが、サービス内容が大きく異なります。代表的な違いを次の表にまとめました。
介護タクシー | 一般のタクシー | |
乗降介助 | サービスとしてある | なし |
自宅から目的地までの介助 | サービスとしてある | なし |
運転免許 | 第二種運転免許 | 第二種運転免許 |
介護資格 | 介護職員主任者研修 | 必要としない |
利用対象者 | 要介護1~5の方(要支援の方は利用不可) | 利用対象規定なし |
利用料金 | メーター料金に介助料金、車いすなどの介護機器レンタル費が加算 | メーター料金のみ |
介護保険適用 | 介助料は保険適用可能(ケアマネの承認必要) | 保険適用外 |
ポイントをまとめると次のようになります。
◆介護タクシーと一般のタクシーとの違い
- 対象者が違う
- 車いすなどの介護用具が積めない
- 料金の設定が異なる
- 介護保険の適用が異なる
介護タクシーのサービスと注意点
介護タクシーのサービス内容
介護保険の介護サービスには「介護タクシー」というサービスはありません。訪問介護サービスの1つに「通院などのための乗車または降車の介助」があり、このサービスを行うタクシーを「介護タクシー」や「介護保険タクシー」と呼んでいます。
「通院時の乗降介助」のサービスの内容は次の通りです。
◆出発時
- 介護保険タクシーが利用者宅まで迎車
- 着替えなどの外出の準備介助
- タクシーまでの移動と乗車の介助
◆到着時
- 降車介助、目的の場所までの移動介助
- 通院時は受付および受診科までの移動介助と病院スタッフへの声かけ(病院内介助は病院スタッフの役目とされる)
- 受診後の会計や薬の受け取りサポート
◆運転
- 利用者宅までの運転
◆帰宅時
- 降車介助、室内までの移動介助
- 必要に応じて着替えやおむつ交換など
このように「通院などの乗降介助」は自宅と目的地への移動と介助のサービスである点が特徴です。ただし、介助の範囲はケアプランで決まるため、利用目的をケアマネージャーにしっかり伝えることが重要です。
※介助を必要とせず、車両への乗降を運転手が見守るだけでよい場合は、このサービスを利用できないので注意しましょう
介護保険タクシーの注意点
介護タクシーは要介護者にとって「外出」の行動範囲が広くなることで、毎日の生活に「楽しみ」や「希望」が生まれます。しかし「介護保険」を適用した介護保険タクシー利用をするときには、注意する点がいくつかあります。そのため、依頼する時にはご家族が次の項目については、よく注意した上で、手配するようにしてください。
◆利用目的に注意
介護タクシーで介護保険を適用する場合、利用目的に注意しましょう。
通院・補装具・補聴器・メガネなど本人自身でなければならない調整や、買い物または預金の引き下ろしなどや選挙投票、公共機関における日常生活に必要な申請や届け出以外の利用目的では介護保険は適用できません。
介護タクシーを利用する際に、多くの人がどこへ外出するのも保険が適用できて格安に利用できるわけではないので注意しましょう。(全額自費の場合は制限がありません)
◆介護保険の適用に注意
次に注意する点は保険が適用できるサービスです。
介護保険が適用できるサービスは「乗降時の介助」に関してのサービスだけで、メーター運賃も安くなると思われている家族がいます。
タクシー会社によっては介護保険適用の方は「料金割引」などを前面に出しているところもありますが、それは介護保険とは無関係でタクシー会社独自に行っていることです。
◆料金に注意
介護タクシーの料金は料金形態が複雑になっています。
介護タクシーを利用する際に、介護保険を適用する場合はケアマネージャーがケアプランで進めてくれますが自己負担の場合は自分で探して契約を交わすようになり、その時に一番問題になるのが料金の設定です。
一つの方法として、全額負担する場合もケアマネージャーの力を借りるようにすれば安心です。
もし自分で契約を行う場合は、事前に必要な利用者の条件や情報を提示してそれにあった見積をもらい内容と金額を確認しておくことが重要な注意点です。
介護タクシーのメリットとデメリット
要介護者の外出
重度の要介護認定を受けた方や障がいを抱えている方は、通院をはじめデイサービスなど以外には外出の機会が極端に減ります。外出が減る理由には次のようなことが挙げられます。
- 重度な体の状態の利用者が外出するほどの体力に自信がない
- 自家用車では車いすを積み込むことができない
- 付き添いの家族に車の乗降時の介助など介護の知識がない
このように、要介護者や障がい者は外出の機会が減って自宅にひきこもりがちになります。その結果、自分自身の活力や気力が低下してしまいます。
介護タクシーを利用するメリット
介護保険を適用すると介護タクシーはいろいろな制限がありますが、自費で利用すれば趣味しこうでお墓参りやレジャー、冠婚葬祭など行きたいところへ介護資格をもったドライバーが送迎してくれます。
介護タクシーのメリットは従来、病院や介護施設など限られた場所だけの外出から、介護タクシーを使うことで、自分が行ってみたいところへ行くことができ、「楽しみ」や「期待」など生活に楽しみができ、それが活力となります。また介護を担う家族の負担も軽減されます。
介護タクシーを利用するデメリット
デメリットを挙げるとすれば、一般のタクシーと比較すると料金が割高になることです。特に介護保険を適用できない場合は自由度は高いものの、費用がかかってしまいます。
しかし、車いすやストイレッチャを積むことができる福祉車両を介護資格をもったのドライバーが送迎してくれるので、安心感があります。また、外出の機会が増えることで活力が生まれるというのは、デメリット以上にメリットがあることではないでしょうか。
まとめ
いかがだったでしょうか。1人で外出することが難しくなると、外にでることが億劫になってしまいます。しかし、家の中にずっといると、気分転換をすることが難しく、だんだんと元気がなくなってしまいがちです。
そのため、介護タクシーを利用して、定期的に外出するようにしてみてください。外の空気を吸い、普段とは違う景色、人と触れ合うことで、気持ちもリフレッシュされるはずです。
また、利用にはケアマネージャーとしっかりと話しながら決めていくことが大切です。ケアマネージャーは介護サービスのプロなので、分からないことは相談したり聞いてみてください。
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