後期高齢者医療制度とは?自己負担や保険料をわかりやすく解説!

皆さんは、医療機関に受診する時に利用する医療保険について「国民健康保険」や「社会保険」だけだと思っていませんか?

75歳になった時には、これらの医療保険では受診できなくなり、「後期高齢者医療制度」という保険制度に加入することになります。

今回は、そんな高齢者のための医療制度である、後期高齢者医療制度について詳しく紹介します。

後期高齢者医療制度とは

日本の高齢者比率と医療制度の見直し

現在、日本は急速な高齢化が進んでいます。これは医療技術の進歩、新薬の開発、健康への関心度の高さなどが要因として挙げられますが、世界ナンバーワンの長寿国になり高齢化が進んだことにより、深刻な社会問題になってしまいました。

実際にどれほど、高齢化が進んでいるのか、また、今後その比率はどうなると予想されているのかということについては、平成29年度高齢社会白書(全体版)で、次のように報告されています。

2016年実績値 人口比 2065年予測値 人口比
総人口(万人) 12,693   8,848
65歳~74歳人口    1,769 13.9% 1,133 12.8%
75歳以上人口    1,691 13.3% 2,248  25.4%

引用:『平成29年度高齢社会白書』

同白書によると、上記の数値で分かるように、日本の総人口は減少傾向にあり、1億人を割り込んでいくと見込まれています。これは少子化によって、死亡者数に比べて新生児の数が少ないためです。この影響もあり、将来的には75歳以上の高齢者が占める総人口の割合は3割近くになると、予想されています。

こういった背景もあり、昭和58年制定の「老人保健法」を見直す必要性がでてきました。そして、平成20年に、増え続ける75歳以上の高齢者を対象とした、社会保険や国民健康保険から独立した制度として「後期高齢者医療制度」が導入されました。

この制度は、増え続ける高齢者の医療費を75歳以上の高齢者も一部負担することとし、また公費負担を増やすことで公平性を保つためにスタートしました。

後期高齢者医療制度の仕組み

目的

後期高齢者医療制度は、75歳以上の方が加入する医療保険で、高齢化が加速する日本で高齢者の医療を安定して支える為に、現役世代と高齢者の公平性を保つために創設された制度です。

運営母体

全国の市区町村の「後期高齢者医療広域連合」が運営母体(保険者)になり、保険料の決定・医療の給付・資格の管理などの業務を行います。

加入手続き

75歳の誕生日を迎えると、自動的に後期高齢者医療制度の加入することとなります(被保険者になります)。特に加入手続きの必要はありません。

但し、65歳~75歳未満で一定の障害がある方で、加入を希望されている場合は申請の手続きが必要です。

被保険者証

加入手続きを済ませて被保険者になった方は、広域連合から「被保険者証」が誕生日を迎える前月に、送付されてきます。医療機関に受診される場合は、この被保険者証を提出します。この制度を利用する場合は、それまで加入していた「国民健康保険や社会保険」から外れます。被保険者証には、自己負担割合(「1割」または「3割」)や有効期限などが記載されています。保険証の見本は下記のようなものです。

引用:『大阪市HP』

保険証の類はその他のものの場合でも同様ですが、病院などで医療を受けるときは必ず提示してください。なお、被保険者証の有効期限は、原則として毎年8月1日から翌年7月31日までとなります。

後期高齢者医療制度の対象者

次の要件に当てはまる方が、後期高齢者医療制度の対象者(被保険者)となります。

◆後期高齢者医療制度の対象者

  1. 75歳になられた方
  2. 65歳から74歳で一定の障害がある方

まず、1.の方は、それまで加入していた医療保険の種別に関わらず、後期高齢者医療制度の被保険者となります。先程も書きましたが、自動的に加入となります。

次に2.の方についてです。この場合は、申請をすることで、後期高齢者医療制度へ加入できます(障害認定)。認定を受ける事ができる障害認定の程度としては、次の方です。

◆後期高齢者医療制度へ加入できる障害認定

  • 国民年金法等障害年金1・2級
  • 身体障害者手帳1・2・3級及び4級の一部
  • 精神障害者手帳1・2級
  • 療育手帳A

申請により、各地の広域連合が認定を認める必要があります。

後期高齢者制度の給付の種類と例

給付の種類

後期高齢者医療制度では、これまでの老人保健制度と同様、現物給付(医療サービスの提供)と現金給付(療養費の支給)を行います。該当となる療養費は次のものです。

[入院時食事療養費]

被保険者が入院したとき、食費にかかる費用のうち標準負担額(所得区分ごとに設定されます。金額は100円/日~260円/日)を除いた額を広域連合が負担します。

[入院生活療養費]

被保険者が療養病床に入院したとき、居住費にかかる費用のうち標準負担額(所得区分ごとに設定されます。)を除いた額を広域連合が負担します。

[保険外併用療養費]

保険適用外の療養を受けると、全額が自己負担です。このような場合でも、一定の条件を満たした時は、通常の治療と共通する部分(診察、検査投薬、入院料)の費用については保険が適用されます。

[療養費]

医療費の全額を支払ったとき、申請により一部負担金を差し引いた金額の払い戻しが受けられることがあります。

これらの他に、訪問看護療養費・特別療養費・移送費などの給付があります。内容は各都道府県により違う事もありるので、地域の広域連合に確認をおすすめします。

費用の払い戻しがあるケース

医療費が戻ってくるケースとしては、次のようなケースがあります。

◆費用の払い戻しがあるケース

  • 急病などでやむを得ず被保険者証を持たずに診療を受けたとき(広域連合が認めた場合に限られます)
  • 骨折や捻挫などで柔道整復師の施術を受けたとき
  • 医師が必要と認める、はり師、灸師、マッサージ指圧師の施術を受けたとき (後期高齢者医療を取り扱う接骨院などで施術を受けた場合は、被保険者証を提示することにより、一部負担金を支払うだけで済みます)
  • 医師の指示により、ギプス・コルセットなどの補装具をつくったときや、輸血のために用いた生血代がかかったとき
  • 海外に渡航中、治療を受けたとき

※医療費などを支払った日の翌日から2年を過ぎると支給対象とはならないので、注意してください

高額医療費の給付制度

高額医療費とは

後期高齢者医療制度の給付のひとつに、高額医療費があります。同一月内に支払った医療費の負担金を合算して、自己負担限度額(所得区分等によって設定されます)を超えた部分については給付として支給されます。

ただし、入院の場合の窓口負担は世帯単位の限度額までです。

※入院したときの食事代や保険診療のきかないベッド代などは、高額医療費の対象となりません。

◆高額医療自己負担限度額一覧

所得区分 自己負担限度額
現役並み所得者3(課税所得690万円以上) 252,600円+(総医療費-842,000)×1%
現役並み所得者2(課税所得380万円以上) 167,400円+(総医療費-558,000)×1%
現役並み所得者1(課税所得145万円以上) 80,100円+(総医療費-267,000)×1%
一般 57,600円
低所得者2非課税者 24,600円
低所得者1非課税者 15,000円

高額医療・高額介護合算制度

「高額医療・高額介護合算制度」では、後期高齢者医療制度と、介護保険の両方に自己負担がある世帯で、1年間(毎年8月から翌年7月末)の自己負担額の合計額が、次の表で設定される自己負担限度額を超える場合は、申請を行うことで限度額を超えた額が支給されます。

なお、自己負担限度額を超える額が500円以下の場合は支給されません。

所得区分 医療・介護合算限度額
現役並み所得 67万円
一般 56万円
低所得2 31万円
低所得1 19万円※1

※1 低所得1で介護サービス利用者が複数いる世帯の場合、介護支給分については、低所得2の自己負担限度額31万円が適用されます

高額治療を長期間続ける必要がある時

厚生労働省が指定する特定疾病で長期間、高額治療が必要とされた場合、毎月の自己負担額は,受診の医療機関ごとに10,000円までです。

◆特定疾病

  • 先天性血液凝固因子障害の一部(第8、第9因子に由来するもの)
  • 人工透析が必要な慢性腎不全
  • 血液凝固因子製剤の投与に起因するHIV感染症

給付を受けるための手続き

限度額適用・標準負担額減額認定証

前の項目で、後期高齢者医療制度の給付の種類を紹介しました。では給付を受けるには、どのような手続きをしたらいいかのでしょうか。

後期高齢者医療制度の給付を受けるためにまず「限度額適用・標準負担額減額認定証」の手続きを行いましょう。住民税が非課税の世帯の方は、入院時に「限度額適用・標準負担額減額認定証」を、現役並みの所得方は「限度額適用認定証」を医療機関に提示することで、自己負担額が減額されます。

さらに他の給付を申請する時に、提出書類としても必要です。入院の時には、最寄りの区役所保健担当窓口に申請手続きを行うことをおすすめします。

給付別手続き方法

下記に、給付別手続き方法を一覧にまとめましたので、参考にしてください。

◆給付別手続き方法一覧

給付名 手続き方法
入院時食事療養費 被保険者証、限度額適用・標準負担額減額認定証、過去12ヵ月で入院日数が90日(低所得Ⅱの減額認定証の交付を受けていた期間)を超えていることが確認できるもの(領収書等)、印かん(認印)

市区町村の保険担当へ申請手続き

入院時生活療養費・保険外併用療養費・療養費・訪問看護療養費・移送費 市区町村の保険担当へ、被保険者証、医師の意見書、申請書、口座情報がわかるものなどをそろえて申請手続きを行う(低所得者の方は限度額適用・標準負担額減額認定証添える)
高額医療費 医療機関に受診後最短で3ヵ月後に勧奨通知が送付されるので、市区町村担当窓口で申請手続きを行う

後期高齢者医療制度の保険料

保険料の特徴

後期高齢者医療制度の保険料率は、同一広域連合区域内では均一になるように設定されています。

また被保険者1人に対して保険料を算定、賦課します。保険料率および賦課限度額は国の基準に基づいて2年ごとの見直しが広域連合の条例で定められます。

◆後期高齢者医療制度の保険料の特徴

  • 保険料は都道府県ごとの広域連合によって決められる
  • 定額の「均等割額」と、収入に比例した「所得割率」の組み合わせで計算する
  • 保険料の改定は2年に1度行われる
  • 基本的には年金から天引きされる

後期高齢者医療制度の保険料は、各都道府県の広域連合で違います。例えば平成28年~29年度の保険料の地域別に比べると次のように明確な違いがわかります。

保険料の都道府県別比較

保険料は全国で同一ではないため、下記のような差があります。

◆後期高齢者医療制度の保険料ランキング(都道府県別)【月額】

高い都道府県 安い都道府県
東京都 7,958円 秋田県 2,963円
神奈川県 7,632円 青森県 3,167円
愛知県 7,003円 岩手県 3,256円
大阪府 6,740円 新潟県 3,463円
兵庫県 6,426円 山形県 3,536円

引用:『平成28年4月1日厚生労働省報道資料』

最も高い東京都と、最も安い秋田県では、月額保険料が2倍以上の差があります。年金から天引きされることを考えると、この地域での差は気になるところです。

後期高齢者医療制度の保険料の試算

被保険者が負担する保険料は、被保険者全員が平等に負担する均等割額(応益分)と所得に応じて負担する所得割額(応能分)の合計金額が保険料となります。

保険料は被保険者一人ひとりについて算定・賦課します。保険料率は各都道府県で異なりますが、同じ後期高齢者医療広域連合内では均一です。

◆大阪府の今年度の場合

  • 【基本】保険料額=均等割額(応益分)+所得割額(応能分)
  • 【均等割額】51,491円(年額)
  • 【所得割額】=※1.賦課のもととなる所得金額 × 9.90%(所得割率)
  • 【賦課限度額】=62万円(年額)

※1. 賦課のもととなる所得とはつぎのようなものです。

  • 前年の総所得
  • 山林所得
  • 分離課税として申告した株式の譲渡所得
  • 配当・土地譲渡所得

これらの所得の合計から、基礎控除額33万円を控除した金額が賦課のもととなる所得となります。

◆賦課のもととなる所得金額の算定方法

  1. 給与所得の場合 ⇒(給与収入金額-給与所得控除額)-基礎控除額(33万円)
  2. 公的年金所得の場合 ⇒(年金収入金額-公的年金等控除額)-基礎控除額(33万円)
  3. その他の所得の場合 ⇒(収入金額-必要経費)-基礎控除額(33万円)

※複数の所得がある場合、基礎控除額の適用は1度のみ

後期高齢者医療制度の自己負担

けがや病気で医療機関に受診する時の自己負担割合は一般の方は1割、現役並みの所得者は3割です。自己負担割合は、毎年8月1日現在でその年の「住民税課税所得額(各種所得控除後の所得額)」により定期的に決められます。

なお、現役並み所得者(3割負担)に該当するかどうかは、同一世帯による被保険者の「住民税課税所得額(各種所得控除後の所得額)」により判定されます。

同一世帯に被保険者が1人のみの場合
被保険者の住民税課税所得 被保険者の収入額 自己負担割合
145万円未満 1割
145万円以上 383万円未満 3割(※1)
383万円以上 3割

(※1) 申請で1割になる場合もあります

同一世帯に被保険者が1人と70歳〜74歳の方がいる場合
被保険者の住民税課税所得 70歳〜74歳の方合計収入 自己負担割合
145万円未満 1割
145万円以上 520万円未満 3割(※1)
520万円以上 3割
同一世帯に被保険者が2人以上いる場合
被保険者の住民税課税所得 被保険者の合計収入額 自己負担割合
145万円未満 1割
145万円以上 520万円未満 3割(※1)
520万円以上 3割

まとめ

高齢になると、医療や介護費用が増え、家計を圧迫していきます。そうなると、自分自身だけでなく、家族などにも負担がいくかもしれないと、不安に思うでしょうが、必要以上に不安になる前に、落ち着いて状況を整理することが大切です。

なぜなら、現行の医療・介護制度においては、国や地方自治体でこれらの費用の一部を出して貰うことができるからです。しかし、こういった制度は、全てが自動的に適用されるわけではありません。その為、しっかりと制度を理解して、利用していく必要があります。

賢く制度を利用していく為にも、こういったサイトを見たり、ケアマネージャーに相談するなど、情報収集をしていくことが大事になっていきます。

高齢者のための福祉制度は他にもたくさんあります。そこで下記の記事にそれらをまとめました。こちらも参考にしてみてください。

高齢者福祉制度ってどんな制度?分かりやすく解説!


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