日本が高齢化社会になったと言われてから、年月が経ちました。
いま日本では、高齢化という先の見えない長いトンネルに入っています。
このまま高齢者が増えていくことで、その高齢者達が危機的な事態を迎える恐れがあります。というのも、高齢者のライフラインとも言える「医療」「介護」について、今後さらに高齢者自身への負担が増える可能性があるからです。今後、高齢者はどのような危機的状況に直面するのかについて紹介します。
目次
高齢者とは
何歳から高齢者?
そもそも高齢者って何歳からだと思いますか?日本では年金受給年齢や介護保険適用年齢が基準になり、65歳が高齢者という定義が一般的になっています。
しかし道路交通法では70歳で、医療では前期高齢者が65歳~74歳、後期高齢者が75歳以上です。これは各法律の目的が違うためだと言われています。
このように日本では「高齢者」と言っても、いくつかの基準がありますが、ここでは法的機関の基準でもあり、また国連の基準でもある65歳を高齢者として話を進めていきます。
高齢者の平均寿命
日本が高齢化時代になった要因にはさまざまな事が考えられます。その中で最も大きな要因が「平均寿命」です。
高齢化の背景には、日本は他の国に勝る医療技術や医療保険の整備などで、世界一の長寿国になり、その結果高齢化が進んだと言われています。
日本は3年連続で世界第1位の長寿の座を獲得しており、長寿国日本を象徴しています。また平成29年度厚生労働省の簡易生命表による平均寿命は次のようになっています。
◆平均寿命
[2017年確定値] [2065年予測値]男性 81.09歳 ⇒ 84.95歳
女性 87.26歳 ⇒ 91.35歳
現在高齢者の定義となっている65歳と、平均寿命を比較すると、その乖離は大きく、65歳は見直すべきだとの声が多くなってきており、70歳を高齢者と定義するという案が官民ともに持ち上がっています。関係省庁の平均寿命予測の基本となる総人口や高齢化率の予想から判断しても、70歳は妥当な年齢と言えます。近い将来、70歳が高齢者の基準となる日が来るでしょう。
現在の高齢化率と今後
平成28年10月1日付け総務省「人口統計」の国勢調査結果では、以下のような人口の実態調査が報告されています。
男性 | 女性 | 合計 | 高齢化率 | |
日本全体 | 6,177万人 | 6,517万人 | 1億2,693万人 | ー |
前期高齢者 | 842万人 | 926万人 | 1,768万人 | 13.9% |
後期高齢者 | 658万人 | 1,033万人 | 1,691万人 | 13.4% |
高齢者全体 | 1,500万人 | 1,959万人 | 3,459万人 | 27.3% |
表からも分かるように、現状の高齢化率は約30%です。そしてこの高齢化の波は、将来的に減少していくような安易な見方はされていません。
では高齢者の将来的な見方はどのような状況なのでしょうか。同報告によると、団塊の世代の人たちが70歳になる2025年を境にして高齢化に勢いがつき、現在よりさらに「高齢化」が進んでいくと予測されています。
高齢化と医療の問題
医療費の増加
前の項目で取り上げた高齢化は、まさに日本の深刻な社会問題となっています。特に高齢化の影響を受けるのが社会保障の医療、介護です。
高齢化になって最も影響がでるのが医療費です。高齢化と並行して医療費は2015年度に42兆円を超え、団塊の世代が70歳になっていく2022年には50兆円に医療費は膨れ上がると予想されています。
巨額な医療費の上昇は高齢化に伴うものだけが原因ではありません。高額な医療機器の導入、ベッド数の確保など、世界でも最高レベルにある日本の医療環境を維持していくために、医療費が莫大になってきています。
医療費高騰により高齢者への負担も増えて高齢者の中には生活への直接的な影響も出ています。
出典:全国健康保険協会『健康保険証(被保険者証)の交付』
高齢者への医療費負担増
以上のような背景があり、高齢者の医療費負担額も引き上げられています。
- 70~74歳の医療費の窓口負担が1割から2割へと段階的に引き上げ
- 高額医療費制度の改正により70歳以上で年収370万未満の場合、外来診療の上限が月14,000円から18,000円に引き上げ
- 今後、現在の後期高齢者医療制度対象者である75歳以上の高齢者の1割負担を3割負担に見直す動き
高齢化はさらに巨大な波になり、危機的な状況を生み出します。約700万人の団塊の世代の人が後期高齢者に到達しはじめる2022年から全員が後期高齢者になる2025年にかけて、後期高齢者支援金の急激な負担増や、保険料の大幅な値上げが危惧されています。そのような状況にの中で高齢者への負担増は保険料の値上げ、自己負担の見直しなど、高齢者への負担はますます高くなるでしょう。
高齢化と介護の問題
健保組合の現状
介護保険が制定された2000年から、3年ごとに制度の見直しと改正が行われてきました。介護保険も医療保険同様に各健保組合の1人当たりの介護保険料の負担額は10万円を超え、前年度比6,075円増の10万912円となりました。
介護保険負担額が最も高い組合が18万円台です。また15万円以上の組合が11組合あり、高齢化が組合の経営に大きな支障をきたす結果となっています。
健保組合は現在1,388組合ありますが経営状況は約6割の組合が赤字経営で、財政圧迫を理由に平成31年4月1日付けで5組合が解散する状態となりました。これから高齢化がますます深刻化するなかで組合の存続も難しくなってきます。
介護保険料の増加
一方で介護保険の保険料を支払う第一被保険者、第二被保険者共に毎回の介護保険改正で保険料は次のデータでわかるように、介護保険制定時(第一期)から2020年平均値では2.3倍、2025年には2.8倍の保険料の上昇が予測されており、高齢者の生活に影響を与えていくでしょう。
危機的高齢化時代とその対策
介護費の適正化
現在、政府は2040年を見据えた社会保障の将来見通しは公表していますが、深刻な高齢化は2020年に迫ってきます。約700万人の団塊の世代の人が後期高齢者に到達する2020年が危機的高齢者時代の入り口です。
この時に現在の国民皆保険制度や介護保険制度を維持していくには、現役世代の負担軽減に併せ医療費、介護費の適正化、保険給付などの見直しなど早急に対策を講じる必要があります。
また医療保険、介護保険共に2020年から2025年に向けた高齢者医療費負担の改革などに取り組むべきではないでしょうか。
危機的高齢化時代は目前に迫っており、高齢者は介護保険も医療保険も生涯払い続ける「負担の時代」と言うべく耐える時期がまもなくやってくることを理解すべきかもしれません。
出生率の上昇
これまで書いてきたように、日本の高齢化社会はますます進んでいっており、これは世界の中でトップクラスです。しかし一方で、出生率は1.44と低く、これは世界171位となっています。足元の対策としては、介護保険の負担増などが必要でしょうが、長期的には、出生率をあげていくことも必要でしょう。
つまり、高齢化社会において、これを改善していくためには、高齢者向けの政策だけでなく、次世代の子供を育てやすい環境の整備等もしていく必要があるということを認識しなければなりません。
まとめ
今回は、日本の高齢化社会と今後の社会保障について書いていきました。今後起こるであろう危機的な高齢化社会についても考えるきっかけになったでしょうか。
年金制度もそうですが、現行の制度のままでは立ち行かなくなる時が必ずきます。そのときに、国の制度が変わってしまったせいだと嘆かないためにも、準備をしていく必要があるでしょう。
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