介護保険は、どんな保険か知っていますか?
恐らく介護を必要としていない人や、介護が必要になったばかりの人はよく知らないものでしょう。しかし、家族や自分自身に、いつ介護が必要になる時が来るかは分かりません。また介護が必要になったばかりの方は、必ず知っておきたいものです。
そこで今回は介護保険の基本情報から使い方まで、わかりやすく紹介します。
目次
介護保険ってどんな保険
介護保険制度とは
介護保険を知る前に、まずは介護保険制度について理解しておきましょう。
日本は少子高齢化が急速に進む中、高齢者は年々増加しています。その高齢者が介護を必要になった時に、要介護者を家族だけで支えるのは難しくなってきています。
そこで要介護者の自立と介護する側の家族の負担を軽減するためにサポートして、要介護者と家族双方が安心できる社会を目指すために1997年12月に「介護保険法」が制定され2000年4月から施行されました。
介護保険制度には以下の3つの基本理念があります。
- 介護は単なる世話役ではなく要介護者の「自立支援」を目的とする
- 介護サービスは要介護者が自由に選択できる「利用者本位」の考え方
- 納めた介護保険料に応じたサービスや給付金を受け取る「社会保険方式」
介護保険は、要介護者の目線にたった形での保険だといえるでしょう。
介護保険対象者
介護保険の対象となるのは、国民の全員ではありません。年齢で制限されています。
40~64歳までが第2被保険者で、65歳になると第1号被保険者になります。つまり、たとえ39歳以下の人が要介護状態になっても介護保険の対象者にはならないのです。
また同じように、第2被保険者で介護を必要になった場合でも、国が定める16疾病以外の発症では、介護保険の対象者にはなりません。
介護保険と介護認定
第1号被保険者が介護サービスを受けるには要介護認定を受けて認可を得る必要があります。2018年介護保険制度改正で次のような見直しが行われました。
さまざまな介護サービスを受けるためには、前のチャートの申請から最終判定結果までを行い介護認定が決まります。
介護認定は各都道府県で行われていて、認定結果に地域での格差が発生している問題点が取り上げられて調査項目や審査会の結果のバラツキを防ぐために見直しが実施されました。
介護認定は次のように7段階の区分に分けられ、それぞれに利用上限額が決まっており、上限額を超えたサービス費用は100%自己負担です。
要介護認定と利用者負担額
要介護認定された時の、認定区分とそれに伴う利用上限、利用者負担額を下記の表にまとめました。
認定区分 | 利用上限額(円) | 利用者負担額(1割) |
要支援1 | 50,030 | 5,003 |
要支援2 | 104,730 | 10,473 |
要介護1 | 166,920 | 16,692 |
要介護2 | 196,160 | 19,616 |
要介護3 | 269,310 | 26,931 |
要介護4 | 308,060 | 30,806 |
要介護5 | 360,650 | 36,065 |
この表の通り、要介護度が高くなる(介護の必要性が高いと判定される)と保険の利用上限額が高くなります。
知って得する払い戻し制度
高額介護サービス費
介護保険は上記の認定区分の利用上限額内で介護サービスを受けられます。しかし中には「利用上限内でのサービスでは必要なサービスが受けられない」「介護費が高くて生活に影響がでる」等の問題を抱えている方もいるでしょう。
そんな時は、あまり知られていませんが、「高額介護サービス費」という制度を利用してみてください。
高額介護サービス費とは、介護保険を利用して支払った自己負担額1割もしくは2割、または3割の合計が一定金額を超えたとき、超えた分のお金が戻ってくるという制度です。同月に一定の金額を超えた場合に、申請によって支給されます。
この上限額は所得によって変わります。
高額介護サービス費上限額
高額介護サービス費の上限額は以下の通りです。
◆高額介護サービス費上限額
- 生活保護の方 …15,000円(個人)
- 世帯の全員が市区町村民税を課税されない方 …24,500円(世帯)
- 市区町村民税を課税されている方 …44,400円(世帯)
申請は「申請書」と「介護サービスの領収書」をそろえて市区町村の窓口に提出してください。その他にも下記のような制度があります。
- 高額医療・高額介護合算療養費制度
- 受領委任払制度
- 特定入所者介護サービス費
どの制度も自己負担の軽減を目的とした払戻制度ですので、利用される前に市区町村の窓口で情報入手を行ってみましょう。
介護保険料と介護サービス
介護サービスを受けるには
介護サービスを受けるには、要介護認定を受け自分の認定区分が決定しないと受ける事はできません。
認定区分の利用限度額に伴って、ケアマネージャー(介護支援相談員)が作成する介護計画書(ケアプラン)により希望の介護サービスを受ける事ができます。
詳しくは、「要介護認定を取得するには?」をご覧ください。
介護サービスの種類
介護サービスは「居宅介護サービス」「施設介護サービス」「地域密着型サービス」が介護サービスの基本になっています。認定区分の要支援の場合、施設介護サービスは受ける事できません。サービスの項目と内容を下記の表にまとめました。
サービス項目 | サービス内容 | サービスの種類 |
居宅介護サービス | 訪問看護、訪問介護など専門のスタッフが自宅を訪問してサービスを行う「訪問サービス」や、デイサービスなどの「通所介護サービス」や「福祉用具レンタルサービス」など | 訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハなど訪問を中心の12種類サービス |
施設介護サービス | 「介護老人保健施設」、「特別養護老人ホーム」、「介護療養型医療施設でのサービス」(要介護認定3以上が利用可能) | 3種類の目的のあった施設に入所してサービスを受ける |
地域密着型サービス | 「地域密着型グループホーム」、「定期巡回サービス」、「認知症高齢者だけに特化したケアのサービス」 | 高齢者が住み慣れた環境でサービスをうけることができる目的 |
介護保険料の計算と保険料支払いの時期
介護保険料はいつから支払う?
介護保険は、高齢者にとって重要な保険です。日常生活のほとんどを介護サービスでケアしている高齢者もおり、介護保険なしではやっていけません。
しかし一方で、介護保険料は生涯支払い続ける事になるため、高齢者の生活に支出面では負担になる要因でもあります。
まず日本国民の義務として介護保険の保険料の支払いが始まるのは、40歳になった時からです。
40歳から64歳の25年間は第2号被保険者として保険料を支払い、65歳になると第1号被保険者になり生涯保険料は支払わなければいけません。
介護保険料の計算方法
では介護保険の保険料はどのように計算されるのかについて紹介します。
◆介護保険料の計算方法①
[第2号被保険者]
加入している健康保険に介護保険料を上乗せして給与天引きで徴収
・給料の介護保険料=(標準報酬月額)×(介護保険料率)
・賞与の介護保険料=(標準賞与額)×(介護保険料率)
介護保険料率は健康保険組合によって異なり、協会けんぽの場合、平成29年2月分まで1.65%、平成30年3月からは1.57%
次に具体的な例を挙げます。
◆介護保険料の計算例
前提:月額報酬23万5000円、賞与42万9000円、協会けんぽに加入
保険料(平成29年3月以降)は標準報酬月額の24万円、標準賞与額は42万4000円、となり、保険料は計算式に当てはめると次の通りです。
(240,000+424,000)×1.57%=10,268
この介護保険を会社と従業員とで折半するため、それぞれの負担額は5,134円
続いて、65歳以上の第1号被保険者の方の場合です。
◆介護保険料の計算方法②
[第1号被保険者] 第1号被保険者の介護保険料は、標準は9段階ですが、市区町村や特別区ごとに、収入によって段階別に決められる基準額や保険料率が独自に決められていますので、全国の自治体によって保険料は異なります。参考までに全国平均保険料を紹介します。
■全国平均介護保険料
[2000年~2002年] | [2003年~2005年] | [2006年~2008年] |
2,911円 | 3,293円 | 4,090円 |
[2009年~2011年] | [2012年~2014年] | [2015年~2017年] |
4,160円 | 4,972円 | 5,514円 |
まとめ
介護サービスは要介護者にとっても、またその家族にとっても生活の一部としてなくてはならないものです。特に介護する家族にとっては、先の見えない介護の負担軽減のために重要な位置づけとなります。
介護保険を良く理解し、有効に利用していきましょう。
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